声質をコントロールする
色んな声質で歌える人ってすごいなあ, と思って
あれこれやってみた経験則.
男声の歌声が主な想定だが(それですら怪しいが)
その他の用途にも有用な情報があるかもしれない.
ちなみにこんな記事を書こうとしていながら
スタンダードな言い方というものを全然知らないので,
語弊や間違いが多分にあると思う.
結局のところ, 声とは肺から喉を通って口/鼻より出る息の響きである.
だからコントロールするべき器官はその途中にあるものであろう.
以下で取り上げる要素をリストアップすると,
- 声帯を閉じる
- 喉を鳴らす
- 息を漏らす
- 喉仏を上げる
- 舌の奥部を前に出す
- 鼻に響かせる
- 口でコントロールする
以上が主要なコントロール要因であると思う*1.
各々の項目は, どれくらい〜〜するか, という
1次元的なコントロールしか出来ないが,
これらを組み合わせることで幅広い声色を
出すことができるはずである.
個別にコントロールする
声帯を閉じる/開ける
いわゆるミックスボイスとか裏声のコントロールに深く関わるのが多分ここ.
「閉じる」方がミックス寄り, 「開ける」方が裏声.
声帯を閉じることで倍音がたくさん生成されて明るい声になり,
逆に声帯を開けると丸い声になる.
息を漏らす/漏らさない
字のごとく. ウィスパーか普通の喋り方か.
多少息が混ざっているほうがセクシーな声に聞こえるとされる.
喉仏を上げる/下げる
フォルマントが上下する, すなわち声の明るさに影響する.
女声とか出してる人はおそらく極端にここを上げてる.
舌の奥部を前に出す/引っ込める
舌の付け根*2を前に出せば明るい声になる.
逆に思い切り引っ込めるとすごくくぐもった声になる.
「舌を平らに」とかいうのもおそらくこれ.
鼻に響かせない/響かせる
多分最も「大人っぽさ」に関わる.
鼻に響かせないと子供っぽい感じが,
響かせると深みやセクシーさが出る.
個別の技術を組み合わせて声を作る
通常歌う上で重要な要素
現代のポップスやロックにおいては声の音抜けの良さが重視される.
歪んだギターやラウドなドラムに負けないためである.
そのためには, 倍音を多く生成し, それを削がないように注意する.
すなわち, 声帯を閉じることによりミックスボイスを出したり,
高音域で叫ぶときには少し喉を鳴らして鋭く荒々しい声を作ったりする.
また舌はなるべく前方に出し, 口も大きく開いて声がこもらないようにする.
鼻にはある程度響かせた方が「歌がうまい」感じが出るが,
パンクなど荒々しい歌い方を重視するジャンルではその限りではない.
ちなみに歌では腹式呼吸が大事だとされるが,
声質という観点では実質的には影響しないと思う.
発声の仕方を変える過程で, 間接的に
鼻の響きが増したり舌の奥部が落ち込んだりして
太く響く声質に変化することが多いのだと思う.
声を作って歌う
声を作るとはつまり, 通常自分が最も自然に発声している状態とは
違う状態に声質のパラメータを固定することである.
結果として, 通常は歌の表現としてそれらのパラメータを
フルに使えていたものが使えなくなる.
その状態で歌うためには,歌いやすさや音抜けの良さを
ある程度犠牲にする必要があると思う.
十分に歌いやすい音域に限れば, 上で挙げたコントロール要因を
いずれもかなり変動させた状態で歌うことができると思う.
つまりキャラ声を作ることができる.
高い音域になると, 声質というよりは
声帯の閉め具合や鼻の響かせ具合など
歌唱技術の癖を似せる方が重要であると思う.
セクシーな声
とにかく鼻に響かせることである.
ただしやりすぎるとわざとらしくなる.
また息も多少漏らすとよい.
声帯はあまり閉めない方がよい.
喉を鳴らし続けてはいけない(アクセントで鳴らすのは有りかも).
つまりは喘ぎ声なのである*4.
歌う際はあまり息を漏らすことはできないが,
声の出し始めや終わりに息を混ぜるとそれっぽくなる.
少年っぽい声はこの逆を意識すればよい.